8:『その頑張りが 〜コツコツ発明家〜 』
瞼が重い。
自然と落ちてくる感じってこんなんかな。
最近、土も凍ってるから畑仕事できないし・・・・・
やることないから鉱石場で採掘したはいいけど、これがどうしてやめらんなくなっちゃって。
夜遅くまでかかって地下進んで行ったら、もう翌朝にはこの状態。
ああ、今、すっごくあおぢるが欲しい・・・
また止まり木の宿にでも行こうと思い、自宅のドアを開けた瞬間、目の前に人影が見えた。
「わぁっ」
「・・・・・・え」
「あ。す、すいません。こちらの方まで散歩に来たので、挨拶をと・・・」
いつもの癖で視線は斜め下、そして右手で後頭部を掻いていたルーンさんは、
私の顔を見るや否や、その行為がピタリと止まってしまった。
「ルーンさん、こんにちわ。あ、教えてもらった湖の鉱石場、いいトコでしたよ」
「・・・・いや!それよりどうしたんです?顔色悪いですよ」
「・・・え、そんな判るくらい悪いですか?」
私は自分の顔に両手を当てた。
「ええ。休まれた方がいいんじゃないですか?」
「・・・・・いえ、そうもいかないんです。今日は今からまたあの鉱石場へ行って、
いっぱい採掘して、今のうちにお金貯めないと。」
春になったら新しい土地を買うんだ。
川の近くの土地が畑作に向いてるらしいから、まずその土地を買って作物いっぱい作って・・・
最近になってちょっと昔のこと思い出すようなことがあったから、余計躍起になって働いてたってのもあるけど。
自分でもこれは行き過ぎた労働なんだって判ってる。
判ってるけど、忙しくしてないと・・・・・
なんか、怖くて。
「・・・ティナさん。」
声をかけられてはっと気付き、ルーンさんの方を見た。
「大丈夫ですか?やっぱり休まれた方が・・・」
「いえ、いいです。休んでなんかいられませんよ」
にこっと笑ったつもりだったけど、ルーンさんに私はどう映っていたのかは検討もつかない。
「・・・・・ティナさん。実は僕もよく言われるんですよ」
「何を、ですか?」
「『深追いしすぎるな』って。僕、好きなことには没頭しちゃうタイプなんで・・・
・・・・・だから、時々、周りが見えなくなってしまうんです」
「・・・・・・・・」
「そして行き過ぎてしまったところで思うんですよ。
ああ、自分を心配してくれてた人がいたんだなって。それは・・・」
ルーンさんの話を聞いていると涙こそ出なかったけど、胸が熱くなった。
私もよく親に無茶して心配させてたな、とか・・・
この村の人にも無理するなって言われたな、とか・・・
色んなことが頭に浮かんだ。
そして結局、思いついたのは・・・・・
「自分が見えなくなる前に、止めておくのが一番なんですよね」
私とほぼ同じ解答を、ルーンさんが言ってくれた。
「だからティナさんも。今日は、休んだ方がいいです」
ルーンさんは、さっきの私の笑顔とは全く違う笑みを私に見せてくれた。
「・・・・・・そうですね。ありがとう、ルーンさん」
「あ、いえ。お礼なんて・・・そうだ、これを。」
「?」
どこからかガサゴソ取り出したのは、眠気覚ましドリンク。
「これ、どうぞ。ちょっとは無茶するときの為の、ね」
悪戯っぽく笑ってみせたルーンさんが、私には何だか輝いて見えた。
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